【CUSTOM MATCHBOX VOLKSDRAGON】
レズニー製 税抜き定価???円
こんにちは!!! 林哲平です♪
前々からやってみたかったスペクトラフレーム風塗装。
本来ならホットウィールでやるべきなんでしょうけど、たまたま面白いミニカーをゲットしたのでそれで挑戦してみました♪
お題はこれ。
かつてホットウィールに滅ぼされたマッチボックスのミニカー「フォルクスドラゴン」です。
2016年夏のワンダーフェスティバルの中古プラモデルディーラーから100円で購入。
最初見たときはホットウィールかと思ったんですが、ひっくり返してお腹を見たらびっくり!!!
マッチボックスがホットウィールを真似して失墜していた時代ドンピシャのミニカーじゃないですか!!!
前々からジャンクなミニカーの再生に興味があったのですが、最高の素材を偶然にもゲットしてしまったわけです。
どんなペイントにするか悩みましたが、ピコーン! とロマサガ風にすんばらしいアイディアを閃きました!!!
ホットウィールに押されまくっていた時代のマッチボックスをあえてスペクトラフレームで塗装する!!!
ロマンがありますよね~♪
詳しい製作工程は私のモデラーとしてのブログ
にて紹介しています。
ビートルに巨大なV8エンジンとドラッグシュートを搭載。
大型の後輪がセッティングされた前傾姿勢の本格派ドラッグマシンなフォルクスドラゴン。
「DRAGON」てなんぞや!!! と思うかもしれませんが、これはドラッグレースのスタートの掛け声である「DRAG‐ON」をもじったもの。
…… 誰がどう見てもホットウィールそのもののモデルですが、マッチボックス自身も出望んでこんなモデルを発売したわけではありません。
フォルクスドラゴンはかつてミニカーの王者だったマッチボックスが、ホットウィールの誕生によりシェアを削りに削られて滅ぼされていく苦難の歴史の中で誕生したミニカーなんです。
ホットウィール誕生以前、子供が遊ぶための3インチミニカー(当時は3インチミニカーって呼称はありませんでした。実はこの言葉けっこう新しいんです)のトップブランドとして君臨していたのは英国レズニー社によるマッチボックスのミニカーでした。
1947年に創業したレズニー社は当初年に数体の新作を販売するのみでしたが、エリザベス女王の戴冠式に合わせて発売されたパレード用の馬車のおもちゃが大ヒット。
これを皮切りに新商品を数多く送り出し、世界中に輸出されトップシェアを誇るミニカーブランドへと成長していったのです。
「マッチボックス」の名称はミニカーをマッチ箱のような四角い小さな箱にパッケージングしたことがルーツ。
また、現在に通じるミニカーの革新的販売方法を発明したのもマッチボックスでした。
1~75番までの数字を全ての商品にナンバリングし、売れ行きの低い商品は引退させて、同じ番号で新しい商品と交換、常に市場に75アイテムを供給するというシステムを構築したのです。
この方法なら買う側は欲しいミニカーをいつでも買えますし、メーカー側としても売れ行きの良い悪いを常にチェックできます。
この販売方法はトミカが受け継いでいるので我々から見ると普通だと感じがちなんですが、元々はマッチボックスが始めた手法なんですよね。
1960年台には現在の我々がよく知るミニカーのフォーマットである「ダイキャストボディとシャシーにプラスチック製のインテリアと窓ガラス、ホイールを装着」というスタイルを確立し、絶頂を迎えたマッチボックス帝国でしたが……
1968年にホットウィールが登場してから全てが変わりました。
全ラインナップがカスタムカー、きらめくドハデなキャンディ塗装で染められたボディ、そのボディからはみ出すようなクロームメッキされた巨大なエンジン、とにかく目を引くレッドラインのマグホイール。
そして…… それまで「車を縮小したおもちゃ」でしかなかったミニカーに「本物の車のように早く走らせて遊ぶ」という新しい価値観を付与したホットウィールは瞬く間に世界中で大ヒット。
盤石かと思われていたマッチボックスに猛攻撃を仕掛けてきたんです。
マッチボックスも黙って指を咥えていただけではありません。
ホットウィールに対抗するにはどうすればいいか?
マッチボックスが出した答えは「ライバルの模倣」でした。
それまでの写実的なスケールモデルアプローチから、ホットウィール同様の「早く走って、巨大なエンジンがついたカスタムマシン」を随時市場に投入したのです。
このシリーズは「スーパーファースト」と銘打たれ、多くの商品が発売されましたが結果的にマッチボックスの寿命を縮めることになりました。
上辺だけホットウィールの真似をしたスーパーファーストシリーズはあまりにも玩具寄りすぎました。
ミニカーで遊ぶことがメインの子どもたちからはホットウィールの偽物と見なされ。
当時少なからずいたマッチボックスのコレクターからはおもちゃっぽすぎて見放され。
結果的に多くのユーザーの支持を失い、あれよあれよいう間に市場シェアを失っていったのです。
「ライバルの模倣」というのはたとえば実用性のみが求められる家電や自動車などの日用品ならば優れた戦略ですが、「玩具」というメーカーの個性そのものが付加価値である商品には向きません。
マシンロボがどんなにがんばってもトランスフォーマーに敵わないように絶対に勝てないんです。
レズニーは売上げを挽回するべくプラモデル製造など(マッチボックスのプラモってすんごい独特なんです)に手を出しますがどれも失敗。
1982年に倒産し、マッチボックスブランドは何度か経営母体を変えながら引き継がれ、最終的にはかつてマッチボックス自身を滅ぼしたマテルの傘下へと入ります。
こうして今ではマッチボックスとホットウィールが肩を並べて同じメーカーから販売されているわけで。
歴史って皮肉なものですよね。
全長65㎜
全幅31.6㎜
全高29.5㎜
実車は存在しませんが、改造のベースとなったフォルクスワーゲンタイプⅠの全長が4140㎜なので、計測すると正確な縮尺は1/64スケールとなります。
マッチボックスのフォルクスドラゴンは1971年に「スーパーファースト」シリーズとして販売されたミニカー。
元々は通常のビートルとして販売されていましたが、スーパーファーストシリーズにラインナップされたときにボディ金型を大幅に改修し、この姿となっています。
リペイント前のボディを見てもらえるとわかりますが、エンジンルームとトランクルームにパーティングラインが入っていますよね?
この部分が金型改修された名残りなんです。
フォルクスドラゴンはこのあとさらに金型改修を繰り返し、レディバク⇒サンドディガー(ホットウィールでいうバハバグみたいな感じ)へとどんどん形を変え、最終的に元のビートルの面影がほとんど無いくらいまで変化しています。
当時の販売価格はわかりませんが、現在ミントコンディションのものは20000円~60000程度の価格で取引されているようです。
車体裏には
MATCHBOX®
SUPERFIRST
N! 3l VOLKS‐DRAGON
MADE, IN ENGLAND
LESNEY PROD, & C0 C0
© 1971
と刻印されています。
170台以上ミニカー集めてきましたが、英国製ミニカーは始めてです。
ホットウィールのビートルであるフォルクスワーゲン バグ 2004 Hot Wheels Classics Series1 ♯25of25との比較。
本来ならばCUSTOM VOLKSWAGEN BEETLEかイヴィルウィーヴィルなどの最初期ホットウィールのビートルと比べるのが正しいんでしょうが、さすがにそう簡単には手に入らないのでこちらのモデルに登場してもらいました。
大きさ以上にプロポーションの取り方がまったく違うのが面白いところ。
通常のビートルを無理やりホットロッドに改造したフォルクスドラゴンのプロポーションと比べると、ノーマルのビートルながら車高のセッティングやエクステリアのバランス配分に気を配ったホットウィールのプロポーションには納得力がありますね。
というわけで178台目のコレクション、フォルクスドラゴンでした。
マッチボックスのミニカーには前々から興味あったんですが、まさかスーパーファースト時代のモデルをこんな形で手に入れることができるとは思ってなかったですね。
現行のマッチボックスのミニカーも欲しいんですが、なかなか売ってる場所が無いんですよね。
トイザらスで売ってると聞いたんですが、うちの近所にあるトイザらスにはまったく売っておらず。
トミカやホットウィールにも無い車種もあるんでぜひ安定供給して欲しいところです。
今回スペクトラフレーム風塗装が思いのほか上手く行ったので、次回はツインミルやスプリッティンイメージのような最初期からあるホットウィールで当時品の再現をぜひやってみたいところですね。
【コレクション台数 178台】
【コレクション使用額 6828円】
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